2010年3月1日月曜日

名曲の誕生

 オーケストラアジアジャパン・コンサートが、3月9日(火)に紀尾井ホールで開かれます。今回は第2部で現在オーケストラアジアの芸術監督を務める劉文金(LIU Wen Jin)氏の作品を特集し、ご本人の指揮のほか、二胡、琵琶、箏のソリストが登場します。ソリストたちはいずれ劣らぬ名花であり、日中の伝統音楽家たちの競演は華やかなステージとなることでしょう。また第1部もよく練られた選曲がされており、現代邦楽の定番のひとつに数えられる管絃楽曲「二つの舞曲」。薩摩琵琶の手法を大胆に取り入れたスケルッツオ「崩れ」。そして今回の委嘱初演作品は二十五絃箏コンチェルト(ソリスト=滝田美智子)の「<みだれ>による幻想的協奏曲」(作曲=秋岸寛久)です。
 すでにコンサート本番に向けて2月に2回リハーサルが行われましたが、この新曲にはすでに名曲の香りがするのです。テーマにした「みだれ」は実に見事に練りこまれ、簡単にまた乱暴に言うならば「みだれ」の姿はまるでミキサーにかけられたかのように砕かれ、しかしそのエッセンスが最高の形で表現されているというもので、私の中では古今のコンチェルト作品の仲間入りをする程の評価を感じています。滝田のソロ=超絶技巧も素晴らしく、この曲は是非聴いていただきたい。また1部と2部で、琵琶(日本)と琵琶(中国)、箏(日本。二十五絃)と箏(中国。二十一絃)を見比べ聴き比べていただくのも楽しいと思います。是非ご来場を!

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